ある作家のお墓を訪れて

先日バイク引っ張りだして、ふらっと葉山と北鎌倉に行って参りました。

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著名人のお墓参り

歴史上の人物や著名人の墓を巡り、故人の足跡に思いを馳せる……

そんな人を「墓マイラー」と呼び、ここ数年密かにブームみたい?!ですね。

確かに著名な人達のお墓の前に立ってみると、なかなかに感慨深いものがあります。

此処にかの偉大なお方が永眠されている…と!

それだけでなく、本当に実在していて生きていたんだなぁ、と実感も出来て。まるで故人と対面したかのような…なんとも言えない不思議な気持ちになるんですよね。

そしたら先月私が行った高野山の奥の院は、武将の墓マイラーにはかなりオススメかもしれません(笑)。

とはいっても私も墓マイラーを語れるほどでもなく…著名人の墓参りをしたのは、二年半前が最後「雑司ヶ谷霊園」に行った以来。その時は夏目漱石や永井荷風に泉鏡花、また小泉八雲に竹久夢二…あとジョン万次郎の墓巡りをしたくらいでした。

意外にきちんと、そういった著名な方達の墓参りをしたのが初めてでしたので、何か不思議な感じがしましたね。感じより、感覚というのか。

そこでふと疑問。
やっぱりその故人について関連する書籍をそれなりに読んでるとか、生涯について自分なりに調べたりするくらい興味があるとじゃ無いとじゃ、お墓を前にして感じ方も全然違うものがあるのかなぁ〜って。

では、自分が尊敬する人物のお墓を前にするとどうな感じなのか?

澁澤龍彦

ということで私自身それなりに本を読んでて、思い入れのある作家───────澁澤龍彦の墓参りをしてきました。

お墓を訪れたい方はまだいますが、まずはこの方。

フランス文学者、また小説家であって、評論家でもありエッセイストでもあり。
マルキ・ド・サドの著書『悪徳の栄え』の翻訳で猥褻のため起訴されました「サド裁判」で有名ですね。

熱狂的なファン、という程ではないけど、たま〜に自分の中でブームが来てその時々に未読のものを掻い摘んで読んだりしてます。翻訳された本や小説も好きですが、特にエッセイが好きかな〜。

エッセイとはいっても古今東西の書物を縦横無尽に語り、驚かされる該博な知識と怜悧な分析、大胆な仮説…とにかく氏の博識っぷりに色んな意味で圧倒されるんです。読んでいて知識欲?または知的好奇心を掻き立てられるというのでしょうか。かといって、気楽にライトな感覚でも読めてしまうのもあり。

とにかく総じてほんっっっとに、色んなことをよく知ってるなぁ〜と感心すらしてしまうのです。
そしてけっこう読みやすいのが良い感じ。

サクサクとページが進みます。

今回は墓所のある北鎌倉の浄智寺だけではなく、1946~66年に住んでいた鎌倉小町の旧宅と66年から没年まで住んでいた、北鎌倉にある旧邸もちょっとだけ寄ってみようかと。

たまにはミーハーになってるみるのもいいもんです。

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「私の戦後追想」「私の少年時代」河出書房2012刊

他にお勧めなのは沢山ありますがとりあえずこの2冊。
過去に発表されたエッセイを時系列でオリジナルで再編集されたもの。
この2冊に収められているエッセイは評論とかではなく、ごくごく個人的な回想が綴られています。

本人に興味がないと回想というのは退屈に感じそうですが、一編一編数ページで纏められ読みやすいし、戦前戦後の東京の様子が分かるのでそれも面白い。あとどうでもいいネタを面白く読ませる技もあって飽きがこないかと。

妙にお気に入りである2つのエッセイ、亡くなる前に書いた「 都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト」と「穴ノアル肉体 ノコト」で締めくくられてるというのもあるから(笑)気軽に読めるのでちょっとでも御本人に興味が出たら入門書ということで、この2冊は導入によいのかもしれません。

鎌倉小町の旧宅

鎌倉小町の旧宅は鎌倉八幡宮からはそこそこ近く、小町大路を更に北に行くと宝戒寺の手前に東に折れる路地があります。その先にあるのが東勝寺橋で、更に進むと北条一族滅亡の地、東勝寺跡・腹切りやぐらがあります。

私は葉山、逗子方面から神奈川県道311を通り、途中細い路地に入りそこから東勝寺橋に向かいました。
急な坂の先には細長い小さなトンネルがあったり、古い民家や住宅の密集する静かな鎌倉の路地裏を通るので趣がありなかなかよかったです。

狭い路地で何でこんなところにバイクが?くらいな感じに一瞬見られました汗

手前に見えるのが東勝寺橋でその下に流れるのが滑川。橋の掛かるすぐ脇にある古い家が、澁澤龍彦が鎌倉に来てから最初に住んだという家です。

茂みの奥に見えるのが、旧宅です。

ああ、こういう川の見えるのんびり静かな環境で、執筆していたのかなぁ、とか色々想像してしまいます。

バイクを停めて、橋の下まで降りてみました。

古いながらも、立派なアーチ型の橋。

調べたところによると、東勝寺橋は大正13年に建造されたらしく、関東大震災の復興期にはこのようなアーチ橋が多く建造されたけど、そのほとんどが撤去されてしまったみたい。

このように当時の姿を保つ東勝寺橋は、かなり希少らしいです。まぁでも鎌倉だし、周りにはもっと古い建造物がごろごろしてるので全然新しい方ではあるんですよね。

東勝寺橋について。

亡き作家の旧宅と東勝寺橋にマイバイク。
この被写体の組み合わせ、私的にこれは感慨深い。

墓所のある浄智寺

次に北鎌倉の山ノ内にある浄智寺へ。
駐車場に停めてから散策することにしました。

浄智寺の拝観料は200円。

墓参りするにもお墓の位置も分からないし、墓所をぐるぐる迷うのもちょっとアレなんで受付の方にお墓の場所を聞くことにしました。

「右に進み、道なりに進んでしばらくしたら急な階段があるのでそれを登ったら左右と上に三つに分かれるので左の道に入って、一番左から四番目の墓です」

(記憶曖昧)と丁寧に教えて頂きました。
階段どこだ?と一瞬迷いましたが、見つけてから墓所まで意外にすぐたどり着けたと思います。

思ったよりほんとに小さなお墓でした。

お墓の後にあった小さな箒で軽く枯葉を掃除してから、お参りしました。そっと手をあわせて。

まだ生存していらっしゃいますが、墓誌には既に奥様の名前が彫ってあります。

静かで私以外誰もいませんでした。確かに前回参った文豪達のお墓参りとはまた違う、やはり好きな作家さんのお墓参りはなにかこう、じん、とくるものがありました。

墓参りは自らの尊敬する人に対するお礼参りと言いますが、本当それなんですよね。

来てよかったです。

暫くお墓の前で佇んでから……後にしました。

浄智寺。緑が多く、とても静かなところで……やぐらもいくつかあったり。

なかなかによい所です。
また来てもいいかなぁ。
墓参りのあとせっかくなので、七福神の布袋さんの腹を撫でてきました。

その後は明月院通りに入って没年まで住んだ最後の家、旧邸を少し遠くから覗いたくらいで、ただそれが本当に旧邸かはあまり分からず。そこにはまだ奥様が住んでるとのことで、うろうろするのも少し憚られるし辺りも薄暗くなってきたのですぐ去りました。

とりあえず回れるところは回ったので思い残すところはなし!

それにしても自分の尊敬する著名な方のお墓巡り…
なかなか良いなぁ、次は誰のを訪れようか…

と、墓マイラーになる気持ちが分かるような気がしました。(笑)

番外:北鎌倉のバイク駐車場

どうやら北鎌倉の駅前に、バイクが止められる駐車場がある、というのを予め調べておいたのですが。

あ!ここ!と思った瞬間入るタイミングを逃し、入口から少し過ぎたところを左折してすぐ引き返し、手で押しながら入ったという……(;´▽`A“

鎌倉方面から来たとして、円覚寺の信号のちょい手前に駐車場の入口があります。

大型バイクも停めれるし、1日500円!管理人のおじさんがしっかり見てくれてるので安心♪

北鎌倉だけでなく、鎌倉を散策するなら使い勝手いいかもしれません。

番外2:マーロウのプリン

ところでなんで葉山の方にも行ったのか❓

それは前職場で、横須賀に住んでる方にマーロウのプリンをお店で食べてみて〜と言われてたから。

ずっと保留にしてたけど、せっかくだからと行ってみました。本当は海岸沿いの本店に行きたかったけど、駐車場が不安なので逗葉新道店の方へ。

なかなかに贅沢なプリン。プリンは数ある種類の中でエスプレッソプリンをチョイス。
とても美味しかった〜。駐車場の󾟶がプリンで可愛い♥

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